研究概要 |
歯周病の原因である細菌は、Prophyromonas gingivalis,Actinomyces viscosus等の嫌気性細菌が有力とされているが、従来の方法による歯周治療では、歯周ポケットにかなり限局した治療とならざるを得なかった。レーザー療法は歯周治療に用いられて日は浅いが、臨床的にも細菌学的にも効果の期待できる治療法と目されている。 歯周病の発症や進行の機序解明に関する分野において、歯周ポケットのみならず、ポケット以外の歯周組織への細菌の侵入による局在の様子を明らかにし、in situ Hybridization(ISH)法を含めて視野にいれ、細菌学的に観察をすることを目的とした。 歯周ポケット内より細菌を採取し、歯周病関連細菌を培養法及びDNAプローベ法を用いて同定した。P.gingivalisの同定に際しては、P.gingivalisのFim遺伝子の約0.96kbp HincII-BsmI断片DNAプローベをもとに、従来検出不可能あるいは極めて困難であった歯周組織内への細菌の侵入、局在の様子を観察する方法を得た。その有効性を検証するために、歯周ポケット内においては従来の培養法を用い、歯周レーザー処置の効果実証を行った。細菌検査は処置前後および対照歯について実施し、併せて臨床効果判定を行った。 現在、歯周治療時に標本を採取することにより、P.gingivalisが歯周ポケットのみに限局せず、歯周組織内に広範に侵入していることを明らかにしつつある。また、各種歯周病関連菌に対する培養法による結果を基に、薬剤の歯周ポケット内投与法の検討、及びオゾン溶存液による洗浄の有効性をin vitroで細菌学的に検討し、塩酸ミノサイクリン含有ストリップスタイプ歯周病薬「SDP」、及びオゾン応用の義歯洗浄器を開発し、発表した。 今後、"Checkerboard"DNA-DNA Hybridizationを行い、観察可能な歯周病関連菌の菌種を増やす予定である。
|