研究概要 |
歯周病は歯肉炎と歯周炎に分類され,歯周炎はさらに早期発症型歯周炎(EOP),成人性歯周炎(AP)などに分類される。歯周組織は,pHが中性領域にあるたんぱく分解酵素のなかで,セリンプロテアーゼとマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)がその中心的役割をはたすと考えられている。Uittoらは,これらの酵素の中で,MMP-1がEOP,MMP-8がAP歯周組織を分解する酵素の中心的役割をなし,これらの酵素の違いが,歯周病の診断に役立つのではないかと推測している。そこで,本年度は,この推測をもとに研究を進め,以下の成果が得られた。 1.コラーゲン,ゼラチン,カゼイン分解活性を測定したところ,健常者(CH)とEOP,AP比較したところ,疾患群で有意に高い値を示した。しかし,EOP,APでは有意な差は認められなかった。 2.Total TIMP-1量は,健常者(CH)とEOP,AP比較したところ,疾患群で有意に低い値を示した。しかし,EOP,APでは有意な差は認められなかった。Free TIMP-1,TIMP-2では3群間で有意な差は認められなかった。 3.そこで,EOP,AP患者で,immunobllotingを行い,MMP-1とMMP-8の違いを検索したところ,両患者群で,MMP-1とMMP-8が検出され,両群で違いは認められなかった。 今後は,EOP,AP患者でMMP-1とMMP-8の量的な違いがあるのか,それとも,他のMMPsでは,何か違いがあるのかを検索する必要がある。
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