研究概要 |
1週の組織学所見では,対照群(健常ラット)と実験群(ヌードラット)で差はみられず、歯髄の1/4が壊死に陥り、生活歯髄には炎症性細胞浸潤が認められた。2週では、対照群では歯髄の3/4から全てが壊死に陥り、根尖部歯周組織に強い炎症性細胞浸潤が認められた。また、歯槽骨の吸収像が著明に認められ、膿瘍形成もみられた。実験群では歯髄の1/2から3/4が壊死に陥り、根尖部歯周組織には中等度の炎症性細胞浸潤が認められた。また、歯槽骨の吸収像は若干認められたが、膿瘍形成はみられなかった。4週の組織学的所見では、対照群では歯髄の全てが壊死に陥り、根尖部歯周組織には強い炎症性細胞浸潤が認められた。また、歯槽骨の吸収像も認められ、膿瘍形成が全てのものにみられた。実験群では歯髄の全てが壊死に陥り、根尖部歯周組織には強い炎症性細胞浸潤が認められた。また、歯槽骨の吸収像も認められ、一部に膿瘍形成がみられた。組織形態計測学的には、両群とも経時的に根尖病変の面積が大きくなる傾向が認められた。また、2、4週において、実験群の方が対照群に比べて病変の面積が有意に小さかった。凍結切片を用いた免疫組織化学的検索については、現在再実験中である。 病理組織学的、組織形態計測学的検索より、ヌードラットでは、歯髄の壊死および病変の形成が、正常ラットに比べて遅延する傾向がみられた。また、根尖部歯周組織におけるリンパ球の細胞浸潤も正常ラットに比べて弱かった。したがって、T細胞やT細胞を介して放出される種々のサイトカインが、根尖病変の進展に強く関与していることが推測された。今後は、同切片にTRAP染色を行い、破骨細胞の動態を検索する予定である。
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