研究概要 |
歯周炎病巣形成,とりわけプラズマ細胞を多数含むいわゆるB細胞病変の形成と歯周病細菌内毒素(LPS)との関わりをB細胞内でのLPSシグナル伝達の面から調べるため,LPS高応答性マウス(C3H/HeN)およびLPS低応答性マウス(C3H/HeJ)脾臓B細胞を各種歯周病細菌LPSで刺激培養したときに48時間後に出現する分子量26.0kDaならびに24.8kDaのチロシンリン酸化タンパクの動態ならびに機能解析を行い,以下の結果を得た。 1)LPS高応答性マウス脾臓B細胞は,Eschericia coli,Porphyromonas gingivalisおよびActinobacillus actinomycetemcomitans由来のLPSに応答して増殖ならびにp26/p24.8チロシンリン酸化反応を呈した。 2)LPS低応答性マウス脾臓B細胞は,P.gingivalisのLPSに応答して増殖ならびにp26/p24.8チロシンリン酸化反応を呈した。しかしE.coliならびにA.actinomycetemcomitans LPSに対しては反応しなかった。 3)いずれのマウス脾臓B細胞も,Cキナーゼ活性化ならびに細胞内Ca2^+濃度上昇を惹き起こすphorbol myristate acetateならびにionomycin刺激によって増殖反応を示したが,p26/p24.8チロシンリン酸化反応は見られなかった。 以上のことから,p26/p24.8チロシンリン酸化反応はLPSに対する細胞応答にともなって生じ,マウス脾臓B細胞の増殖に必ずしも必須の反応ではないことが考察された。
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