研究概要 |
本試験では、各種コア築造用コンポジットレジン、ヒト象牙質の被切削性試験を行う準備段階として、試作切削試験機の性能評価および改良のため、牛歯象牙質および光重合コンポジッレジンを用いてダイヤモンドバ-による切削性及び整形能力の評価を行った。 今回行った象牙質の切削においては、切削時の移動スピード、切削荷重を変化させて切削面表面性状および寸法を行ったが、切削荷重を歯科医の歯牙切削時の荷重と同等に設定すた場合でも、表面性状に顕著な凹凸は見られず、ダイヤモンドバ-の過度の切り込みによる停止も発生しなかった。また、同一の試験片を多数作製した場合でも再現性は十分であることが確認された。 さらに、光重合コンポジットレジンの切削性についても評価を行ったが、今回は光重合コンポジットレジンの棒状片より中央部に2×2×2mmの狭窄した平行部を持つダンベル型試験片の削成を行ってみた。切削面性状は、象牙質と同程度であったが、切削荷重を大きくした場合にはダイヤモンドバ-の過度の切り込みによる停止が発生する現象も見られ、象牙質との複合切削では切削性が重要であることが示唆された。 以上の結果、本試験機は、被切削体を移動させながら連続的に切削することが可能であった。また、切削スピードは、今回の試験への試用により改良を加え、0mm/secから2,0mm/secの範囲で任意に選択できるようになり、さらに、試験片のアダプターを改良することにより、各種の形態を作製することが可能となり、さまざまな試験体の作製への応用も示唆された。 なお、今後の問題点としては、切削時のエアーターピン回転数が切削物の被切削性により無負荷時の32000rpmよりかなり低下する場合もみられたため、回転数コントロールに更なる改良の余地があることが判明した。 今後は、以上の結果を踏まえ、更なる切削試験機の改良と、各種歯科材料の評価法について研究を進める予定である。
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