研究概要 |
鋳型は15mm×10×1.5または15mm×10×3のワックスパターンを4個埋没した直径45mm,高さ45mmとした.埋没材はプレシャスおよびノンプレシャス合金クラウン,ブリッジ用リン酸塩系埋没材を使用した.鋳型を700℃まで加熱して脱ロウし,室温まで放冷.次に真空加熱炉で拡散ポンプを働かせながら800℃まで加熱し,30分係留して放冷.冷却途中,250℃で炉内に99.995%アルゴンガスを導入(以下アルゴンガス置換という).対照として真空排気およびアルゴンガス置換をせず,加熱スケジュールのみ同様にした鋳型を用意した.サイクラーク(モリタ)により純チタンを鋳造した。 鋳型に吸着,残留したガスの除去に必要な温度と時間について:温度については280〜400℃でガス放出は最大となり700℃で低レベルになった.時間については38分後からガス放出が減少しはじめ,68分後に低レベルになったが,250℃まではガス放出は少なく,この温度に達するまでの20分余りを差し引くと15〜45分となる.より高温で真空加熱すればこの時間は短くなると考えられる.鋳型の残留,吸着ガスを不活性ガスに置換することの効果について:本研究の特徴の一つはアルゴンガス置換により,鋳型をいったん大気中にさらすことができるか否かを調べることであった.結果は,鋳造体の厚さが1.5mmおよび3mmの場合ともに金属色を呈していたのに対して,対照は黒色の酸化膜でおおわれていた.従って,アルゴンガス置換により酸化が抑制できることが明らかである.これより,真空加熱装置を組み込んだ鋳造機を製作しなくても,現在市販されている鋳造機をそのまま生かし,リングファーネスのみを改良すればチタン鋳造体を改善できることがわかった.しかしながら,金合金タイプIV(ジ-シ-)の鋳造体と表面性状を比較した場合,金合金の方が優れていた.
|