研究概要 |
より早期に予知性の高い骨造成を行うため,骨形成の場を確保する組織誘導再生法(GTR法)をベースに,未分化な間葉系細胞を骨芽細胞および軟骨細胞に分化誘導することが知られている骨形成因子(BMP)を含む脱灰骨と,強力な軟骨細胞の増殖因子でありかつ骨芽細胞も増殖する線維芽細胞増殖因子(FGF)を含むコラーゲンミニペレットを組み合わせた移植体を,ラット頭頂骨骨膜下に埋入する実験を行い,主として組織学的検討を加えた結果以下の所見を得た. 1.FGF含有量0.001μgのペレットを用いた群では,埋入4週後の軟X線写真においてすでに,3頭中2頭でほぼフレームに沿った石灰化像が見られ,光顕観察においても骨髄組織を伴った著明な骨新生が認められた. 2.0.01および0.1μgの群では,埋入4週後の軟X線写真において3頭のうち1頭に関しては一部に石灰化と思われる不透過像を認めたが他の2頭ではほとんど見られなかった.8週後では,0.01μgの群においては3頭ともフレーム全体に不透過像が存在したが,0.1μgの群では3頭ともにほとんど観察できなかった. 3.FGFを含有していないペレットを用いた群においては2週および4週後では少量の不透過像を認めるのみであったが,8週になるとフレーム全域に不透過像が見られた. 以上の結果より,ラット頭頂骨骨造成モデルにおいて,FGFを用いなかった群に比べ,0.001μgの群においては骨新生の促進が認められ,より早期の骨造成が達成されたのに対し,0.1μgの群では逆に骨新生が抑制され骨造成が達成されなかった.よってFGFの量を調節すれば骨新生が促進されることが明らかとなり,より早期の骨造成達成のために有益な知見を集積することができた.
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