研究概要 |
1.咬合力測定装置の製作:被験者の上下顎に装着するスプリントを製作し,上顎スプリント咬合面,左右第一大臼歯相当部に小型荷重変換器(共和電業社製,LM-5KA)を埋入し,下顎スプリント咬合面に,これに対抗する金属板を装着した.これにより咬合力を安定した状態で測定することが可能となった.またセンサからの出力をダイナミックデータロガー(共和電業社製,PCD-1000A)を介し,コンピュータ(日本電気社製,PC9821-LA7)に格納することにより,長時間の記録を可能とした. 2.測定装置の校正:咬合力計(日本光電社製,MPM-2401)を用いたキャリブレーションを行い,口腔内において0〜50kgfまでの間でセンサ出力と咬合力の間に線形関係があることを確認した. 3.ブラキシズム時の咬合力測定:ブラキシズムの既往を持つ3名を被験者として選択した.各被験者には測定開始前よりスプリントを夜間のみ1週間装着させ,測定時の装置に対する違和感を可及的に除くように配慮した.測定は各被験者につき3夜,終夜連続で行い,睡眠時ブラキシズムにおいて発揮される咬合力を実測した.またこれとは別に同一装置を用い,各被験者の日中における最大咬合力を測定した. 4.結果:計9夜におけるブラキシズム時の最大咬合力の平均は41.3kgf(8.2〜77.1kgf)であった.また各被験者の最大咬合力は平均74.2kg(72.8〜76.0kgf)であり,最大咬合力に対するブラキシズム時咬合力の比率は平均56.2%(10.8〜105.9%)であった. 5.本年度の研究により睡眠時の咬合力測定のための基本術式はほぼ完成をみた.よって今後は被験者数を増やし得られた研究成果を,学会ならびに学術誌において発表する予定である.
|