研究課題/領域番号 |
08771810
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
永松 有紀 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40220579)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Ni-Ti合金 / 形状記憶 / 生体安全性 / 溶出 / 腐食 / 毒性 |
研究概要 |
本研究では、現段階において一定の評価が得られていないNi-Ti合金の生体への影響について検討をしており、Ni Cr合金、純Ti、Co Cr合金、18 8ステンレス鋼との比較を行っている。金属の口腔内での使用に際して、合金によっては口腔液中に溶出した成分元素に起因する金属アレルギーおよび毒性等の生体為害性が問題になることを考慮して、研究の第1段階においては合金の浸漬試験を行い、成分元素の溶出挙動について調べた。8.0cm^2の表面積になるように切断した各合金線(直径1〜2mm)をアルミナによるサンドブラスト後、超音波洗浄およびアセトン脱脂を施して生理食塩水あるいは1%乳酸水溶液4ml中に1、3、7、14、28日間、37℃で旋回浸漬(90rpm)した。生理食塩水へのNi Ti合金および純TiからのTiの溶出は認められなかったが、1%乳酸水溶液中には浸漬1日後から110ppb程度のTiが検出されており、浸漬の延長に伴って130ppb(3日間)、310ppb(7日間)、620ppb(14日間)と溶出量は直線的に増加していた。Ni Cr合金からは、1日間の浸漬だけで生理食塩水に100ppb以上のNiの溶出が認められたのに対して、Ni Ti合金の場合は生理食塩水中への7、14日間の浸漬でもNiの検出がほとんどみられず、28日まで浸漬を延長しても30ppb程度であった。一方、1%乳酸水溶液には浸漬1日からNi Cr合金は1000ppb程度の溶出があり、Ni Ti合金では3日間まで微量(数10ppb)の溶出であったが、7日間以上の浸漬になると急激にNiの溶出が促進されており、Ni Cr合金からの検出量を上回っていた。Ni Ti合金の成分元素の溶出挙動は浸漬液により大きく異なることがわかった。 現在、これらの金属合金に関して、ラット皮下組織由来L929細胞に対する細胞毒性試験を行い、毒性の有無およびその程度を調べて成分元素の溶出挙動との関係について検討中である。
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