研究概要 |
試作リライニング材(MW)は,市販の常温重合型サジン「メタベース」(MB:サンメディカル)を基本として試作した.粉末はそのまま用い,液はアミンを希塩酸で抽出し,蒸留水で希塩酸を洗浄し,以下の実験に使用した.粉液比は使用説明書に従った.重合方法は予備実験の結果,FRPフラスコの下部に水を入れ,試料を入れた後,上部をかぶせ電子レンジで3分間加熱した. 試料の物理的性質を調べるため,可塑性試験,吸水量試験,溶解量試験および抗折たわみ試験をJIS T6501に準じて試験し,更にヌープ硬さ,引張強さを計測した。アミンの影響を調べるため,コントロールとしてメタベースも同様に試験した. 可塑性試験は,46mmであり,JIS規格の27mm以上という条件を満たした. 吸水量はMWは0.6mg/cm^2,MBは0.54mg/cm^2であった.溶解量はMWは0.02mg/cm^2,MBは0.07mg/cm^2であった.MWの方が吸水しやすいが,溶解量はJIS規格の値以内であった.一方MBは,吸水量は少ないものの溶解量はJIS規格の値を越えていた.これは重合方法が常温重合型ということから,残留モノマー量の違いによるのと考えられた. 抗折たわみ試験の結果,MWはMBよりたわみにくくたわみ試験中に破折した. ヌープ硬さは,MWは11.1,MBは6.8であった. 引張強さはMWは22.6MPa,MB32.4MPaであった.MBの方がMWよりのびてから破断する傾向が認められた.そのため引張強さが高くなったものと思われる. 以上の結果よりMBはたわみやすく柔軟な材料であるが,MWはMBに比較すると剛性で硬い性質であった.この違いは,アミンによるものか,あるいは,マイクロウェーブで加熱することにより重合が進行し,溶解しにくく硬い材料になったものと思われる.
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