研究概要 |
本研究では,エーテル麻酔下にゴールデンハムスターの右舌縁中央1/3部を数回擦過した直後に,0.5%DMBA含有アセトン溶液を塗布し,実験的に舌癌を発癌させ,プロポリスの発癌抑制効果を検討した.1群を10匹とし,5%プロポリス水溶液(林原プロポリス粉末,マルトース95%含有)を飲ませる群と,コントロールとしてマルトース水溶液を飲ませる群の2群に分けて実験を行った. 結果として,プロポリス水溶液を飲ませた群は,約2か月頃より擦過時,興奮傾向を示すようになり,飲水量も1匹につき1週あたり約60mlから30mlに減少した.そして,6か月までに7匹が闘争死し,残りの2匹に白板症形成を認めたが,残り3匹の全身状態も悪化してきたために実験を中止した.一方,マルトース水溶液を飲ませた群は,6か月までに3匹が闘争死し,残りの2匹に白板症の形成を認めた.両群とも,白板症を組織学的に検索したところ角化の亢進のみで腫瘍形成は認められなかった. 今回の実験では,プロポリス投与群のハムスターに興奮傾向が認められ闘争死が多く全身状態も悪化し,コントロール群に腫瘍を形成させるまでに,プロポリス投与群の動物数が少なくなり,プロポリスの発癌抑制作用を証明するにはいたらなかった.本実験では1ゲージに3から4匹のハムスターを入れていたが闘争死を避けるために,再実験では1ゲージあたりの数を減らす必要があると考える. 尚,5%プロポリス水溶液飲水下で,ヌードマウスにヒト扁平上皮癌A431細胞を皮下に1x10^4個注射し,植え付け実験を行ったが,プロポリスの抗腫瘍効果は認められなかった.
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