1.骨芽細胞様細胞の培養 今回の実験に用いた骨芽細胞様細胞は児玉らの方法にさらにPTHおよびDex amethasoneを培養液中に添加することによってラット新生仔頭蓋冠より培養した。培養細胞は培養14日目のALP染色において細胞膜に陽性を示し、培養21日目にはvon Kossa陽性物質の産生が認められた。 2.骨目細胞様細胞とポリ-L-乳酸の複合体移植実験 8週齢ウイスター系ラットに麻酔を行った後、下顎骨の部分切除を行い、上記方法にて培養した骨芽細胞様細胞と部分切除を行う前の形態に整形したポリ-L-乳酸との複合体を下顎骨切除部位に移植した。移植後7、14、21、28日目に摘出し、ホルマリン固定後、軟X線写真撮影を行い、脱灰後パラフィン切片を作成し、組織学的(H-E染色)に検索した。なお、コントロールとして反対側にも下顎骨部分切除を行い、ポリ-L-乳酸のみを移植した。軟X線写真において、移植7日目および14日目に変化は認められなかったが、移植21日目には、移植した複合体周囲に点状のX線不透過像が認められるようになった。コントロール群においては、7、14、21、28日目ともに変化は認められなかった。組織学的検索において、移植7日目では移植した複合体周囲に炎症性細胞と線維芽細胞様の未分化間葉系細胞の増殖が認められ、移植14日目では、複合体周囲に類骨様組織が認められ、移植21日目では、複合体周囲に幼弱な骨組織が存在していた。移植28日目では骨形成は進行しているものの、顎骨の形態を呈するまで骨形成は進行していなかった。また、ポリ-L-乳酸単独では移植7日目に炎症性細胞浸潤が認められ、14日目以降ではポリ-L-乳酸周囲は線維性組織が存在していた。 本実験は骨芽細胞様細胞の培養に時間を要した。さらに動物実験においてもさらに長期間の観察が必要であると考えられた。今後、培養方法および下顎骨部分切除の方法をさらに検討して、もっと長期間のタイムテーブルで検索を行う予定である。
|