Chemical systemを用いたフッ素によるエナメル質の脱灰抑制効果については従来より数多くの報告がある。細菌と歯質の界面でのフッ素の効果についての研究は非常に少ない。そこで今回、gel-stabilized biofilm systemを用いてフッ素の脱灰抑制効果を調べることを目的とした。エナメル質表面をFーバーニュシ(ビ-ブランド・メデイコ・デンタル)により37℃で24時間処理した後、1M KOH 50ml中に24時間浸漬し、CaF_2様物質を除去した。このエナメル質をS. mustans NCTC 10449のkilled cellを含む人工プラークで被い、界面のpHをISFETを用いて連続的に記録しながらpH4.2の乳酸緩衝液中で24時間インキュベーションした。また、この時、乳酸緩衝液のpHもガラス電極を用いて同時に連続的に記録した。Fーバーニッシュ処理しないエナメル質にも同様のインキュベーションを行なった。界面でのpHと乳酸緩衝液のpHとの差および、インキュベーション後の微小硬度変化は、F処理群が未処理群よりも有意に小さく、フッ素によるエナメル質の脱灰抑制が明らかとなった。
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