研究概要 |
マウス樋状根の形態学的研究から、樋状根高出現マウスの第1、第2および第3臼歯の歯冠幅径、ならびに長径、歯根形態が矮小化を示さないことが観察された。そのため、樋状根成因には、遺伝子要因として、突然変異遺伝子による小奇形が引き金となっている可能性が示唆された。さらに樋状根を100%有するC57L(CL)と樋状根出現が全く認められないC57BL/6J(B6)の交配実験から66匹のbackcross[(CL×B6)×B6]マウスを得た。その中で25匹(37.9%)に樋状根出現が認められたことから、樋状根成因に対し、遺伝的要因の関与が大きく、遺伝様式が優性であることが示唆された。また、単一遺伝子と捉えたとき、backcrossでX^2=3.87 df=1 p<0.01という結果が得られ、極少数の遺伝子により樋状根出現がコントロールされている可能性が考えられた。そこで、DNA pool法を用い、PCR法によりlinkage解析を行う中でchromosome5,8,15,17上に存在するSSLP markerの1つであるMit markerで、linkageを疑う興味ある結果を得た。現在各染色体上に、より多くのMit markerを設定し、Interval mappingを試みているが、chromosome5で、樋状根原因遺伝子の存在を疑う結果が得られている。マウスchromosome5は、Msx1,Ffgr3など歯の発育に関与すると考えられる遺伝子が乗っていることからも、非常に興味が持たれる。
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