下顎頭軟骨は下顎骨の成長発育に関与し、顎整形力に反応してその成長方向を変化させることができるといわれている。機械的外力を顎関節部に加えた場合、軟骨組織の反応は軟骨組織自身の反応に加えて、周囲の結合組織・骨組織からの液性因子等を介した反応によって修飾された結果と考えられる。この現象をin vitroで検討するため、以下の実験を行った。 まず軟骨組織を単離し、軟骨組織特有の各種分化段階の状態をin vitroで再現することを試みた。体重300-450gの雄性New Zealandウサギの膝関節より採取した軟骨細胞をマルチウエルに播種後、10%ウシ胎仔血清添加Dulbecco's Modified Eagle's Medium中で培養すした。2日毎に培溶液を回収した。 関節軟骨の単離を試みたところ、グリコサミノグリカン合成能等軟骨細胞に特異的な性質を確認した。しかし、培養日数の経過に応じた各種分化段階の軟骨細胞が得られるものの、軟骨細胞の形態は各種分化段階の混在した状態で、必ずしも画一の分化段階が培養日数に応じて再現できるわけではなかった。 この結果については培養ディッシュ表面のコラーゲンゲルコーティングの種類によっても変化するため、今後培養細胞に接触する部分の状態を透過型電子顕微鏡で精査しながら検討する予定である。また同時に、ヒト軟骨腫由来軟骨細胞を用いた系で、各種分化段階の軟骨細胞を再現することを試みる予定である。
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