研究概要 |
配糖体イソキノリンアルカロイド・インドールアルカロイド類の合成研究と分光学的研究を行った。 (I)配糖体イソキノリンアルカロイドの合成研究 生合成前駆体と考えられるドーパミンのセコロガニンの縮合反応、C環ラクタム化、続くメチル化によりMethylalangiside,Methylisoalangisideを約7:2の比率で合成した。また、イソバニリンを出発原料としたイソキノリンアルカロイドの合成を検討した。イソバニリンの2位あるいは6位にBr基を導入した後、ドーパミン誘導体とした。AcOH条件下、6-ブロモドーパミン誘導体とSecologanin tetraacetateとの縮合を行い、低収率ながらイソキノリン体を得、さらに2段階にてNeoalangisideを初めて合成することができた。2-Br体を用いた縮合反応については検討中である。 (II)二糖結合型アルカロイドの合成研究 Secologaninに糖一分子を結合して得た二糖結合型Secologaninと酸性条件下インドール誘導体との縮合を試みたがいまのところ目的物を得るには至っていない。また、Vincoside lactam tetraacetateとSecologanin誘導体との縮合を試みたところ、糖部分のα,β混合物であるが二糖結合体を得ることができた。 (III)配糖体アルカロイド類の分光学的研究 3位にβ-水素を有するVincoside lactam tetraacetateの^1H-NMRにおいて4本のアセチルメチルのケミカルシフトが2ppm付近にすべて観測されるのに対して、3位にα-水素を有するStrictosamide tetraacetateでは、1本だけ特異的に高磁場に観測される。NMRの詳細な解析によりこの高磁場シフトするアセチルメチルが糖部2'位のアセチル基に相当すること、さらに糖部分を含むD環部のコンフォーメーションを明かとし、3α-HのStrictosamide誘導体においては2'位アセチル基がAB環部の上に位置することによりそのアニソトロピー効果によって高磁場シフトすることを明かとした。
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