研究概要 |
26-アミノコレステロールは、メバロチンやリポバス等のHMG CoA reductase阻害薬と異なる、肝臓に副作用のない次世代の高脂血症用治療薬としてその臨床応用が期待されている。本研究は、天然には存在しない26-アミノコレステロールを高収率で得られる新規合成法の開発を目的とする。 ナス科植物のSolaunm viarum果実より原料としてステロイドアルカロイドのソラソジンを得た。これを既存の方法により中間体である3β-acetoxy-26-acetylamino-cholest-5-en-16,22-dioneに誘導した。本ジケトン体の還元例はなく、1.Wolff-Kishner還元により16,22位のケトンを還元する方法、2.ジケトン基を2,6-エタンジチオールによりジチオケタールとた後脱硫する方法、の2通りを検討した。結果は、1.の反応は中間体として安定なピリダジン誘導体を形成し、目的とする還元生成物は得られなかった。2.の反応では、初めに16位のケトン基がチオール化されたモノチオケタール体が得られた。これをラネ-ニッケルにより脱硫還元し、残りの2.2位のケトン基を更にチオケタノール化した後、ラネ-ニッケルにより脱硫還元(ナス科植物成分研究(66)コレステロール生合成阻害剤、26-aminocholesterolの合成、中村ら、1996年日本薬学会九州支部例会にて発表)し、目的物質である26-アミノコレステロールを得ることに成功した。反応工程は13、最終収率は約5.7%と、ジオスゲニンを出発物質として得られた方法の10工程、収率10%には及ばなかったが、新規合成法を開発出来たことは、本分野の発展に大きく寄与できたものと考える。今後反応の短縮化、中間体の合成法を改良し、収率の向上を計る予定である。
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