研究課題/領域番号 |
08772039
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 北海道薬科大学 |
研究代表者 |
南雲 紳史 北海道薬科大学, 薬学部, 講師 (40246765)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | フェノニウムイオン / ラクトン化反応 / 1,2-シフト / エーテル環合成 / LAH還元 / 加溶媒分解 / 立体化学の反転 / 電子供与基 |
研究概要 |
β-Arylalkylsulfonateの加溶媒分解では、一度中間体として橋頭型フェノニウムイオンが生成し、それに対し酢酸などの溶媒が求核することが知られている。この関連の研究は活発に行われてきたが、フェノニウムイオンを中間種とする分子内反応の例は報告されていなかった。今回、本研究者はMethyl 4-aryl-5-tosyloxypentanoateをシリカゲルの存在下ヘキサン中で撹拌すると高収率で4-Arylmethylbutanolideのみが生成することを明らかにした。この反応においてアリル基が1,2-シフトしていることは、その中間種としてフェノニウムイオンが存在していると考えられる。このことは以下に示す二つの実験結果からも示唆される。(1)基質の芳香環上における置換基の効果がある。すなわち、オルト位あるいはパラ位に強力な電子供与基であるメトキシ基が最低一つあることが反応の進行に関する必要条件である。さらに二つあるような基質では反応速度が大きく向上する。(2)光学活性な基質を用いて反応を行ったところ、4位炭素の立体化学は反転を伴って進行していることが明らかとなった。 この反応における一つの注目すべき点は、本来求核性の低いエステルがフェノニウムイオンに対して反応していることである。これは分子内反応であることの有利性が効いているものと考えている。それならば、より求核性の高いアルコールでも当然フェノニウムイオンは反応するであろうと考え、Methyl 4-aryl-5-tosyloxypentanoateをLAH還元したところ、2-Arylmethyloxolaneが生成した。この反応は一度エステルが還元されてアルコールになった後、分子内のフェノニウムイオンに対し攻撃したものと考えている。
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