研究課題/領域番号 |
08772056
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 将夫 東京大学, 薬学部, 助手 (30251440)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 受容体介在性エンドサイトーシス / ドラッグデリバリーシステム / クリアランス |
研究概要 |
研究申請者はこれまで、上皮成長因子(EGF)ならびに肝細胞増殖因子といった生理活性ペプチドの特異的受容体を介するreceptor-mediated endocytosis(RME)を速度論的に解析し、その体内動態における重要性を証明してきた。RMEは、生理活性ペプチドの体内動態機構としてばかりでなく、さまざまな薬物の標的部位への選択的な送達や、小腸や肺などにおける吸収促進のためのドラッグデリバリーシステムのターゲットとしても重要である。しかしながらRMEにおいては、取り込まれた薬物の多くはlysosomeで分解を受ける。そこで今回、イヌ腎尿細管上皮細胞由来のMDCK細胞を用い、lysosome分解を受けずに、より効率的に薬物を経細胞輸送させる方法論の確立を目的として検討を行った。クロラミンT法にて得られた^<125>l標識EGFをbasal側より添加し、apical側への経細胞輸送を観察したところ、細胞内蛋白質のmissortingを引き起こすことで知られるブレフェルディンAはEGFの経細胞輸送を促進しなかったものの、トランスフェリンの経細胞輸送を顕著に促進した。このことからこの試薬は経細胞輸送を促進させるsorting modulatorとして有用であるものの、その効果はレセプターによって異なることが明らかとなった。次に、lysosomeでの分解を抑制する試薬(クロロキン、バフィロマイシンA_1、モネンシン、塩化アンモニウム)を用いたところ、これらのうち前者2つはEGFの経細胞輸送を促進する一方、後者はむしろ抑制する方向に働いた。速度論解析の結果、後者2つの試薬は細胞内輸送のすべての過程を阻害する一方、前者2つの試薬も細胞内からapical側への輸送を若干阻害するものの、それ以上に細胞内分解過程を阻害するためにリガンドの細胞内蓄積を引き起こし、結果として経細胞輸送される量が増加することがわかった。以上より、これらもsorting modulatorとして有用である可能性が示唆された。
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