研究概要 |
研究実績概要 5種類のヒト結腸腺癌細胞(COLO 201,COLO 320DM,DLD-1,LoVo,WIDr)を遠心分画後、得られた粗膜画分を二次元電気泳動を行い、抗c-src抗体及び抗Myr-Gly抗体を用いてwestern immunoblot analysisを行った結果、LoVoを除く4種のヒト結腸腺癌細胞中の等電点の異なる3種類の癌遺伝子産物pp60^<c-src>(pI5,pI6,pI7)を検出することができ、その内、pI5及びpI7のpp60^<c-src>は新規合成されたものであること、更にpI6のpp60^<c-src>は細胞内に蓄積しているものであることが判った。また3種類のpp60^<c-src>は各細胞周期において発現量が変動し、特にM期においては、粗膜画分だけでなく細胞質画分にも得られたことからM期に注目し、PVDF膜にブロッティングされたpI6のpp60^<c-src>をMALDI-TOF MSを用いて解析した結果、pI6のpp60^<c-src>のアミノ末端周辺構造は翻訳時修飾であるミリストイル化を受けていることが判った。従って今回の研究から活性中間体(まだkinase活性は有しない)であるpI6のpp60^<c-src>は、アミノ末端がミリストイル化を受けており、さらにThr34及びSer72がリン酸化を受けているformであることが示唆された。また今回の研究でPVDF膜(Immobilon-P)上でのMALDI-TOF MSを用いたpp60^<c-src>の翻訳後修飾解析にはImmobilon-PよりImmobilon-CDの方がブロッティング後の蛋白質との結合力が比較的弱いために解析に向いていることが判った。
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