ラット好中球走化性因子であるCytokine-induced neutrophil chemoattractant(CINC)には、CINC-1、CINC-2a、CINC-2β、CINC-3/MIP-2の4種類が存在する。本研究では、CINCレセプター遺伝子のクローニングを行うとともに、まだ構造の明らかとなっていないリガンド、CINC-2遺伝子のクローニングも行った。 1.ヒトIL-8レセプタータイプA及びタイプBcDNAの塩基配列を基にプライマーを合成し、ラット肝臓ゲノムライブラリーをスクリーニングしたところ、1種類のポジティブクローンを得た。この遺伝子には7回膜貫通型レセプターと考えられる359個のアミノ酸からなるタンパクをコードする1つのエクソンが存在した。コードされるタンパクは、ヒトIL-8レセプタータイプAとタイプBに対してアミノ酸レベルでそれぞれ66%と71%の相同性を示した。 2.得られた遺伝子をプローブとして、ササン、及びノーザンブロット解析を行ったところ、好中球での発現が確認され、また、この遺伝子に相同性の高い別の遺伝子の存在も示唆された。これは、CINCレセプターは2種類存在するという我々の以前の報告とも一致し、来年度クローニングを行う予定である。 3.CINC-2βcDNAをプローブとしてラット肝臓ゲノムライブラリーをスクリーニングしたところ、全長14kbにわたるCINC-2遺伝子が得られた。この遺伝子は6つのエクソンより、1-4番目のエクソンがCINC-2aをコードし、1-3と5、6番目のエクソンがCINC-2βをコードしていた。すなわち、エクソン1-3は共通で、それ以降のエクソンのalternative splicingにより、CINC-2a、及びβが産生されると考えられる。
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