研究課題/領域番号 |
08772087
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 秀之 京都大学, 医学研究科, 講師 (40225727)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 薬物吸収 / ペプチドトランスポータ / βラクタム抗生物質 / 小腸 / 腎尿細胞 / 冊子縁膜 / ジペプチド / クローニング |
研究概要 |
小腸及び腎に分布するペプチドトランスポータは、β-ラクタム抗生物質等のペプチド類似薬物の腸管吸収や尿細管再吸収を媒介している。本研究課題では、ラットに発現する2種類のペプチドトランスポータ(PEPTl及びPEPT2)の遺伝子クローニングとそれに基づく臓器分布特性及び薬物認識機構の比較解析を実施した。 家兎オリゴペプチドトランスポータ(PEPTl)のアミノ酸配列を参考にPCRクローニング法を応用して、ラット腎cDNAライブラリーから2種のcDNA(PEPTl及びPEPT2)を単離した。シークエンシングの結果、ラットPEPT1は710個のアミノ酸から構成される12回膜貫通型糖タンパク質であることが示唆された。PEPT1抗血清を用いた免疫組織学的分析の結果、ラットPEPT1は小腸と腎の刷子縁膜に発現していることが確認された。アフリカツメガエル卵母細胞発現系並びに遺伝子導入安定発現細胞を用いて輸送機能を調べた結果、PEPT1は構造的に多様なβ-ラクタム抗生物質をH^+勾配依存的に輸送することが示された。ラットPEPT2のcDNAには、PEPT1と48%の相同性を示す12回膜貫通型糖タンパク質(729アミノ酸残基)がコードされていた。PEPT2は腎に最も強く発現し、一部肺と脳にも検出されたが、小腸では発現がみられなかった。遺伝子導入によりラットPEPT2安定発現細胞を作成し、glycylsarcosine輸送に村する相互阻害効果に基づいてPEPT1とPEPT2の薬物認識特性の比較解析を試みた。その結果、PEPT2はアニオン型セファロスポリンを除くβ-ラクタム抗生物質に対してPEPT1よりも高親和性であること、これまで単離膜小胞系による輸送研究から示唆されていたβ-ラクタム抗生物質の尿細管再吸収における多様性並びにペプチド類似薬物間の相互作用に、PEPT1とPEPT2が輸送制御因子として寄与していることが明らかとなった。これらの研究成果は、ペプチド類似薬物の体内動態制御機序の解明、並びに基質認識特性を利用したドラッグデリバリーシステム開発に有用な基礎的情報を提供するものと考える。
|