研究課題/領域番号 |
08772122
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 悟 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (20268098)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 胃粘膜上皮細胞 / 粘液分泌 / レミノプラゾール / ロキサチジン / 細胞内Ca^<2+>濃度 / Ca^<2+>流入 |
研究概要 |
培養ウサギ胃粘膜上皮細胞の粘液分泌・合成を促進させる酸ポンプ阻害薬レミノプラゾール(LMP)、H_2拮抗薬ロキサチジン(ROX)の作用について解析した。LMPは酸ポンプ阻害作用の場合とは異なり、粘液分泌に対する作用にはSH基依存性はみられなかった。LMPの促進作用に必要な構造の検討から、そのスルフィド体は活性を十分に発揮するが、他の誘導体では効果がないことが判明した。そこでスルフィド体を樹脂に固定し、結合蛋白質の単離を試みたが、上皮細胞の細胞質画分にはLMPと親和性を有するものは検出できなかった。一方、ROXの細胞内情報系に対する作用を検討した。ROXは細胞内Ca^<2+>濃度を用量依存的に上昇させた。時間経過を検討したところ、ROXを細胞に作用させた後、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇がみられ、粘液の分泌・合成の促進はそれに続いてみられた。細胞外Ca^<2+>濃度を低下させると細胞内Ca^<2+>濃度の上昇は消失したこと、ROXは細胞外から細胞への^<45>Ca^<2+>取り込みを促進させたことから、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇はCa^<2+>流入の増加にもとづくものと考えられた。ROXによるCa^<2+>流入の促進はニフェジピンやジルチアゼムにより有意に抑制されたが、これらのCaアンタゴニストを高濃度で使用しても完全にはROXの効果を抑制しきれなかった。ROXの粘液分泌・合成の促進効果に対してもニフェジピンやジルチアゼムは有意に抑制したが、完全なものではなかった。一方、カルモジュリン拮抗薬W-7はROXによるCa^<2+>流入には影響を与えなかったが、ROXの粘液分泌・合成の促進効果をほぼ完全に抑制した。以上の結果から、ROXは電位依存性Caチャネルとその他のCa流入路を介したCa^<2+>流入を促進し、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を引き起こすことが示唆された。さらに流入したCa^<2+>がカルモジュリンを介した反応を通して粘液の分泌・合成を促進させることが示唆された。
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