研究課題/領域番号 |
08772130
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
平田 龍吾 理化学研究所, 動物・細胞システム研究室, 研究員 (60260197)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 酵母 / H^+-ATPase / 液胞型ATPase / 液胞 / 酸性化 |
研究概要 |
酵母液胞膜ATPaseは、液胞型(V-type)のプロトンポンプであり、膜表在性の触媒頭部(V_1)と膜内在性のプロトン輸送路(V_0)から構成されている。V_1部分は少なくとも8個、V_0部分は少なくとも5個のサブユニットを含むが、V_1、V_0のそれぞれはホロ複合体の他に細胞内で部分複合体を形成することが明らかにされている。研究代表者は、V_0のサブユニットでプロトン輸送路を形成すると考えられているプロテオリピドサブユニットをコードする3つの遺伝子(VMA3、VMA11、VMA16)について、V_1サブユニットの液胞膜への結合量が増加する変異を同定した。これら変異株の液胞膜に含まれる酵素複合体は、ATPase活性を失っていた。しかし、変異複合体のサブユニット構成は野生株と全く同じであった。この結果は、変異による遺伝子産物の構造変化によってV_1のV_0への結合様式が変化したためと考えることもできるが、V-ATPase活性の喪失により、液胞内の酸性化、あるいは液胞膜のエネルギー化が行われず、これがV-ATPase複合体の形成に影響を及ぼしたと考えることも可能である。現在、液胞内の酸性度がV_1V_0間の結合を調節する可能性について検討する目的で、野生型遺伝子と変異遺伝子の両方を1コピーずつ持つ2倍体株や、液胞内酸性化阻害剤処理した野生株における酵素複合体形成について解析中である。 vmal4、vmal5変異株は、液胞膜V-APTase活性欠損株が見かけ上の呼吸欠損とカルシウム感受性を同時に示すことを利用して、既存の呼吸欠損株のライブラリーから単離された。それぞれの遺伝子の遺伝子破壊株を構築して、遺伝子産物の機能について解析した。これらの遺伝子欠失株は、これまでに単離されたV-ATPase欠損株と異なり、単離液胞膜小胞のV-ATPase活性が完全には阻害されておらず、野生株の1/3ないし1/4程度の活性を残していた。vma14およびvma15遺伝子欠失株における、既知のV-ATPaseサブユニットの液胞膜への結合を調べると、いずれの株でもV_0部分のアセンブリは正常に起きていることが示唆された。しかしながら、vma14欠失株では、すべてのV_1サブユニットの、vma15欠失株では特に54-kDa V_1サブユニットの結合量の低下が認められた。Vma14p、Vma15pが液胞膜V-ATPaseのサブユニットであるかどうかについての解析は完了していないが、Vma14p、Vma15pが、V_1サブユニットのV_0部分複合体への結合に調節的に機能している可能性が示唆された。
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