研究概要 |
1.[D-Ala^2,D-Leu^5]enkephalin(DADLE:Tyr-D-Ala-Gly-Phe-D-Leu)のラットにおける代謝 DADLEのD-ロイシン残基4,5位を三重水素標識した標識体,[^3H-D-Leu^5]DADLEをラットに静脈内投与しDADLEおよびそのC末端側フラグメントの血中濃度時間推移を求め,DADLEのラットにおける代謝様式を明らかにした.DADLEはTyr-D-Ala,Gly-Phe,Phe-D-Leu結合の順に切断され分解した.さらにD-[^3H]ロイシン由来の揮発性化合物に代謝されることが示唆された. 2.安定同位体トレーサー法によるD-ロイシンのラットにおれう生態内動態研究法の開発 (1)GC-MSによるDL-ロイシンの分別定量法の開発 DL-ロイシンのCOOH基をメチルエステルとしたのち,NH_2基を種々な光学活性カルボン酸を用いアミド化し,得られたジアステレオマ-アミドをGC-MS分析した.その結果,アミド化剤として(-)-α-メトキシ-α-トリフルオロメチルフェニル酢酸を用いることにより,GCにおいてD-およびL-ロイシン由来のアミドはベースライン分離した.さらにCI-MSにおいてそれぞれの分子イオンピークが基準ピークとして検出された. (2)D-ロイシンの^<13>Cおよび重水素標識体の合成 ヨードメタンおよびマロン酸の^<13>C標識体および重水素標識体からD-[4,5,5′-^<13>C_3]ロイシン,D-[4-^<13>C,^2H]ロイシンおよびD-[5,5′-^2H_6]ロイシンを合成することを目的として,非標識体を用い合成ルートの確立を試みた.その結果,9工程でD-ロイシンを合成したが,全収率が数%であった.現在,収率向上を目指し,キラル素子を用いた不斉合成法によるD-ロイシンの合成を試みている.
|