研究課題/領域番号 |
08772151
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医薬分子機能学
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
桜田 誓 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (30279244)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 疼通 / サブスタンスP / ニューロキニン / 受容体 / クローニング |
研究概要 |
申請者はサブスタンスP(SP)と疼通の関係を解析し、以下の知見を得た。 1.脊髄シナプス膜におけるSPの分解:SPの生理作用は、シナプス膜に存在する膜結合性のプロテアーゼにより分解され、その作用を停止すると考えられる。そこで、シナプス膜標品によるSPの分解を解析した結果、その主要代謝産物はSP N-末端フラグメントSP(1-7)、(1-4)であり、エンドペプチターゼ-24.11(NEP)がSPの分解に主要な役割を演じているを明らかにした。 2.SP N-末端フラグメントの薬理学的性質:NEPによるSPの分解が、生理的不活化か否かを明らかにするため、SP-N末端フラグメントの生理作用を調べたところ、それ自身ではSP様活性を示さず、逆にSP誘発性知覚神経異常行動を強く抑制した。更に、この抑制効果はニューロキニン(NK)-1受容体アンタゴニストでは無影響であった。このことはSP N-末端フラグメントにはNK-1受容体とは異なる新規の受容体が脊髄に存在することを示唆している。以上のように、脊髄内NEPによるSP分解の生理的意義は、SPの生理作用を終結させることと同時に、新たなる生理活性を引き出すために、SP N-末端フラグメントを産出するという二面性をもつことが推察される。 3.新規ニューロキニン受容体のクローニング:新規のニューロキニン受容体を単離するため、PCR法を用いて、いくつかのクローンを得ているが、それらが生理的機能を持った受容体か否か、今後の詳細な検討を必要とする。疼通を制御する新規ニューロキニン受容体の構造を明らかにすることによって、より選択的で、強力な阻害剤を創出することが可能となり、臨床上問題(耐性、依存性など)のあるオピオイドとは異なる、新しいタイプの脊髄作用型非麻薬性鎮痛薬の出現をもたらすであろう。
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