研究概要 |
モデルペプチドとして、中枢性の鎮痛活性を有するロイシンエンケファリン(アミノ酸残基数5個)と、その構成ペプチドであるtyrosyl-glycyl-glycine(YGG),tyrosyl-glycine(YG),およびtyrosine(Y)を選択し、糖を結合させる方法としてグルコサミンの2位のアミノ基にアミド結合させる方法を用いた。合成後、精製した各種糖修飾化合物を^<125>Iで放射標識化し、in situ brain perfusion法を用いて、グルコース輸送担体に認識されるかどうか検討するために、グルコースを同時存在させてその血液脳関門透過性が変化するかどうかの検討を行った。アグリコンをYにしたもの以外は阻害効果を観測できなかった。また、血液脳関門に存在するグルコース輸送担体の基質となることが知られている3-O-Methyl-D-glucoseに対する阻害効果は、アグリコンをYGにした化合物でも観察されたが、YGGまで大きくするとその阻害効果は観察されなくなった。このことから、血液脳関門に存在するグルコース輸送担体の認識性はアグリコンの分子量が300よりも大きくなると消失してしまうことが示唆された。小腸上皮細胞グルコース輸送機構の認識特性の解明は、当研究室において、小腸吸収に輸送担体介在が示唆された、p-Nitrophenyl-β-D-glucopyranoside(pNP-Glc),2-Naphtyl-β-D-glucopyranoside(2NA-Glc)を基質に用いて検討を行った。これら化合物の小腸刷子縁膜小胞への取り込みは、取り込み駆動力として内向きナトリウム勾配を存在させた場合にのみ、オーバーシュート現象が観察され、また、これら化合物の取り込みはグルコース同時存在下で減少した。よって、pNP-Glc及び2NA-Glcは小腸上皮細胞に存在するグルコース輸送機構に認識されることが明らかとなった。これら、認識性の違いは、血液脳関門と小腸に存在するグルコース輸送担体の違いによると考えられる。
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