研究概要 |
核家族が大多数を占め,家族による支援が得難いと予測される大都市(大阪府豊中市)に居住する母親を対象として,身内以外の育児経験者(乳児をもつ母親の親世代位の者)による育児支援システムについての意識調査を実施し,以下の事項が明かになった。 1.調査対象200名の背景は,初産婦49%,経産婦51%であった。核家族が89%と大多数を占め,里帰り出産した者61.5%,母親や身内に自宅に来てもらった者25%,誰の支援も受けなかった者9%という現状であった。 2.他者による育児支援システムに対して,「賛成」91%,「反対」9%という意見分布を示した。その理由としては「身内の支援や協力者がいない人には必要」72.5%,「些細なことでも相談できる人が必要」54.5%,「色々な経験を参考にできるのでよい」48.5%が主たるものであった(重複回答)。「育児の内容・考え方に世代間の違いがあるために好ましくない」と否定的な意見をもつ者は6.5%であった。 3.この育児支援システム実現後に利用する意志については,「是非利用したい」23%,「必要に迫られれば利用する」70.5%と利用希望者が大多数を占め,利用する意志がない者は6.5%を極めて少数であった。利用希望者は,具体的な支援内容として「育児方法などのアドバイス」66.3%,「自分自身の休養がとれるように,短時間子どもを預けることができる」53.5%,「精神的なサポート」38%を希望していた(重複回答)。 大都市に居住する若い夫婦の9割は,身内の支援を得て育児をスタートしているが,身内以外の育児支援に対しても極めて高いニーズがあることが明かになった。今後,大都市に居住する育児支援者側の実態・意識についても調査を行い,両者を結びつけるシステムのあり方について検討していく予定である。
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