双生児の育児に適切な援助や支援を提供するための基礎として、母親の育児態度と疲労の実態、子供が生来もっている育てにくさの要因としての「気質」、育児をささえる環境について調査研究を行った。疲労については産業疲労研究会の自覚症状調査表を、子供の気質については1〜3歳用の日本版幼児気質質問紙を用いた。4歳未満の双胎児を持つ母親77人、単胎児をもつ母親75人を対象に調査し、以下の知見を得た。 1.双胎妊娠中に何らかの異常を経験し、妊娠中に入院したものは80%以上であり、単胎妊娠に比べ有意に高率であった。 2.疲労の自覚症状訴え率は双胎児をもつ母親に高い傾向があり、特に「注意集中への困難」の訴え率が有意に高かった。双胎児をもつ母親では、育児に関する相談相手と手伝ってくれる人の種類が多いほど疲労の訴え率が低くなっていた 3.子供の扱いやすさに対する母親の認知と子供の気質が一致する傾向が単胎児では認められたが双胎児では認められなかった。 4.子供の気質の活動性・規則性・接近性・順応性・反応の強さ・気分の質・気の散りやすさ・持続性・敏感さの9つの特徴では、双胎児は単胎児にくらべ規則性・接近性・順応性が高い結果であった。また双胎児の出生順と性別による特徴がみとめられた。
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