研究概要 |
85歳以上高齢者の健康状態と保健行動の関係を明らかにすることを目的に、都市近郊の一自治体(人口約2万枚,高齢化率14%)における85歳以上の在宅者の全戸訪問調査を行った。対象地域における85歳以上全224人のうち、入院・入所者51人(22.8%)、長期不在等21人(9.4%)であり、在宅者は152人(67.9%)であった。在宅者のうち拒否14人を除いた138人を調査・分析対象とした。対象者は男性62人、女性76人、年齢は85〜89歳が111人、90歳以上27人であり、最高齢者は99歳であった。調査の結果、以下の点が明らかになった。 1.健康度自己評価は、「健康」が70%、「健康でない」が30%であった。性別にみると男性の方が「健康」が多いが(x^2検定:P<0.05)、年齢と健康度自己評価の関係は明らかではない。 2.日常生活自立度(厚生省の判定基準)は、自立が86%、準寝たきりが8%、寝たきりが6%であった。90歳以上の者においても75%は自立していた。IADL(老研式)をみると、全体の平均点は5.7点であり、性による点差はみられないが、年齢別では、85〜89歳6.2点、90〜99歳3.6点と90歳以上の高齢者のIADLは顕著に低い(t検定:p<0.001)。 3.食事については、野菜、海藻、豆製品、魚の摂取などの頻回の摂取、1日3食摂取、減塩などのいずれについても約90%の者が実施していた。 4.活動については、毎日外出する者が80%と多く、一日の歩行時間は平均110分であった。何らかの家の仕事を行っている者は約80%であった。休息については、睡眠は9〜10時間の者が約半数であった。また「疲れたら休む」88%、「無理をしない」83%のように、日常生活における休息と活動のバランスがとれている者が多い。 以上の結果から、在宅の85歳以上高齢者は食事、活動、休息において全体的に望ましい保健行動の者が多く、保健行動と健康度自己評価との関連は明らかではなかった。
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