緩和ケア病棟および老人病院に入院中の患者のべ25名を対象に、本人の承諾の上で機械入浴前後での血圧、脈拍の変化を60分後まで計7回測定し、以下のような結果を得た。ただし緩和ケア病棟の患者を1群(11名)、老人病院入院中の患者を2群(14名)とし、入浴は各施設ですでに行われている方法に従って実施した。 1、血圧・脈拍の変動 血圧は1群11名のうち入浴直後に低下した者が8名であった。以降60分後までは変化に規則性は見られなかった。2群14名のうち入浴後に低下した者が5名、一端上昇してから低下した者が5名、60分を通じてほとんど変化しなかた者が1明であった。脈拍は、1群で入浴直後にほとんど変化しなかった者が8名であった。2群では5名であった。両群通じて増加したのは4名のみだった。 1群では、入浴日、手順などは患者に合わせて実施されていた。従って入浴を快の刺激として受け入れ、入浴後も動作を制限されずに過ごしていたとの見方ができる。一方、2群では入浴日、手順がすでに決められて実施されていた。入浴後の血圧・脈拍の変動には浴温などの入浴条件のみならず、入浴を快の刺激として受け入れているか、入浴に伴う援助をどのように行ったかなどの因子も関与するのではないかとの示唆を得た。 2.緩和ケア病棟での対象の様子 入浴前にみられていた症状が入浴後に悪化した例はなかった。入浴後に入眠した者5名、明らかに表情がおだやかになった者2名であった。入浴援助は患者の意志を尊重し、バイタルサインの変動と共に入浴前後の観察を十分に行い、熟練した援助技術で行うことが重要であると考える。
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