研究概要 |
BALB/Cマウスで妊娠中から母体は飼料中にタンパク質源としてβ-ラクトグロブリン(LG)だけを含むLG食を与えられ,母体をとおして胎児はLGを摂取して生まれた群(胎児期ミルク群),離乳直後(2週齢)のBALB/Cマウスにおいて1)飼料中にタンパク質源としてLGだけを含むLG食を摂取するLG群(2週齢ミルク群),2)飼料中にLGを含まない一般的な飼料MFを摂取する対照群を作成し、餌・水ともに自由摂取で6週齢まで飼育した。それぞれの群を解剖の10日前にLG/PBSを腹腔投与する群とPBSのみを腹腔投与する群に分けた。【血液中抗LGに対するIgG_1,IgG_<2a>,IgG_<2b>,IgG_3,IgG,IgM】生後3週目と解剖時(6週齢)に各群のマウスの眼窩静脈血を採血して測定した。抗LGに対するIgG抗体価は3週齢において胎児期ミルク群で最も高値を示し,2週齢ミルク群も対照群より高値を示した。特にIgG_1の上昇が大きくみられた。解剖時には,胎児期ミルク群のLG腹腔投与群で最も低い値を示した。2週齢ミルク群や対照群のLG腹腔投与群で最も高い値を示した。2週齢ミルク群ではすべてのサブクラスの上昇がみられ,対照群のLG腹腔投与群では特にIgG_1の上昇がみられた。血液中の抗LGに対するIgM抗体価はすべての群で3週齢,6週齢ともにほとんど同じ値で飼育開始日から変化はなかった。【脾臓細胞の抗LGに対するIgGならびにIgMそれぞれの抗体産生細胞数】6週齢のマウスでELISPOT法にて測定した。IgG産生細胞数は2週齢ミルク群で最も多く,IgMはすべての群で同じ位の数であった。【脾臓細胞をLGで刺激して培養したときの細胞の増殖量のMTT法による測定】LG刺激に対する増殖は胎児期ミルク群のLG腹腔投与群で対照群に比べ有意に低い値を示し,胎児期ミルク群でも対照群に比べ有意に低い値を示した。対照群,対照群のLG腹腔投与群,2週齢ミルク群,2週齢ミルク群のLG腹腔投与群ではほぼ同様の値を示した。
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