研究概要 |
外部刺激による細胞内の環境変化に対して応答するストレスタンパク質[HSP(熱ショックタンパク質)]に着目し、今回は運動習慣の有無が運動負荷時の生体にかかるストレスに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。すなわち、シドマン型回避学習により自発的にランニング運動することを訓練されたラットを1日2時間のランニングトレーニングを4週間(4WT-G)、8週間(8WT-G)負荷する群およびトレーニングを実施しない群の3群に分類した。トレーニング終了後、3群に各々2時間のランニング運動を行わせ、運動習慣の有無およびトレーニング期間の違いがストレスタンパク質の発現誘導に及ぼす影響について検討した。 得られた結果の要約は以下の通りである。 1)2時間のランニング運動での総走行距離はトレーニング群(4WT-G, 8WT-G)で、わずかに長い傾向がみられたものの有意な差はみられず、各群において同程度の運動量であったと考えられた。 2)本研究において摘出した臓器は心臓、肝臓、副腎、筋肉であり、そのうち肝臓と副腎においてストレスタンパク質の発現誘導がみられた。 3)今回発現のみられた臓器のうち、副腎において個体差が少なく、すべてのラットにストレスタンパク質の発現誘導がみられた。 4)今回の実験条件ではトレーニングによるストレスタンパク質の発現誘導には差は認められなかった。今後、さらに検討していく必要がある。
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