研究概要 |
本研究においては,まず作図ツール(Geometric Constructor)を使った数学的探究におよび,授業について分析し,教材研究と授業研究のための基礎的な方法論をまとめるとともに,12の授業例に関するケーススタディをまとめ,飯島(1997)として刊行した。一方,それらの成果とともに,これまでの研究成果を公開し,再編成すると同時に,よりインターラクティブな研究交流を可能にするために,インターネットのWWW上で各種の資料の公開を開始した。 並行して,これらの事例に関連する授業事例,また新たな授業事例を共同研究者とともに開発し,また実践し,検証した。新たな授業事例に関する直接的な研究協力校は,愛知教育大学附属名古屋中,愛知県小牧市立桃陵中,豊田市立石野中,刈谷市立雁が音中,岡崎市立新香山中学校,神奈川県川崎市立白山中であるが,それ以外にも,特にインターネットのメーリングリスト(mathedu)の中で,さまざまな議論を実施できた。中学校のみでなく,小学校,高校,教育センター,大学などさまざまな機関の人々によって,違った観点からの検討が行えた。このことは,今後のカリキュラム研究を進めていく上で,新たなシステムの実現可能性が非常に高くなっていることを示唆した。 そのため,複数の研究成果が交流可能であるために,テクノロジーを用いた数学的探究の研究において,注目すべき諸変数を明確化し,今後の議論を円滑に行うための基礎を形成した。また,特にWWWを用いて数学教育研究情報の公開・共有に関する現状を明らかにするとともに,今後の可能性と課題とを明確にした。 これらの研究成果によって,次の研究課題としての,WWWを用いた広い意味での教材・授業データベースの形成とそれによるカリキュラム研究・開発の基礎的な準備が整った。
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