本研究では、情報教育のうち、情報活用能力を総合的に育成する学習指導について研究対象とした。 研究の方法論としては、情報教育の授業が成功するための要素を分析的に検討し、それを再統合する形で授業設計モデルとするという方法を採った。具体的には、 1)情報教育を教科学習の中で成功させようとした2事例について分析し、2実践の共通項を見出すことから、情報教育の授業づくりのノウハウを取り出した。 2)情報教育を意図し、さらに総合的な学習を指向した授業実践を取り上げ、そこに関わった2学級についての学習指導の過程を追い、その共通項と相違点を見出した。 のような2つの研究成果としてまとめることができた。 1)については、2実践の授業者と学年が異なるにも関わらず、情報活用能力の育成を意図した学習活動は似ていることを指摘した。しかし、情報活用能力の育成が進むにつれて、授業システムの構造は複雑化する傾向が見られた。 2)については、ネットワークを利用した遠隔ディベートを題材にした。これは共同学習であり、2つの離れた学級間で同じ単元デザインで授業を行った。その2学級が当該単元に至るまでに経験してきた学習活動について分析した結果、2学級間で行われた学習指導ユニットのカテゴリーは共通し、ユニット数もほぼ同等であった。しかし、ユニット間の関係配置については、授業者の個性や学校事情などが反映されていた。
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