研究概要 |
複数個の多変量正規分布の共分散行列が構造をもつ場合の平均に関する多重比較について,固定された大きさの推測を可能にするための二段階法を開発することに成功した。共分散行列がスカラー行列のとき、開発された二段階法の漸近有効性が熊本大学との意見交換により論文1で証明された。この二段階法は、母集団選択の問題にも漸近有効な解を与えることが論文2で証明された。これらの二段階法で得られる解は漸近最適性をもつことも証明された(投稿中a)。共分散行列が級内相関構造をもつとき、開発された二段階法の漸近有効性が、多段階法の第一人者N.Mukhopadhyay教授(Connecticut大学,U.S.A.)との意見交換によって証明された(投稿中b)。これまで困難であったPureな逐次法・三段階法・加速法の多変量への拡張にも成功した(投稿中c)。 多群判別問題への応用として、二段階法を用いて誤判別確率を制御することで、従来は技術的に困難であった判別方式の有効性の評価を正確に与えることに成功した。これは、Aoshima,Dudewicz and Siotani(1991)の多変量への拡張になっており、誤判別確率の評価にIndifference Zone Approachを用いている(投稿中d)。ここで提案された二段階法の漸近最適性の研究が、九州大学との意見交換によって進められている。 非正規分布への一般化として、対数正規分布の平均に関して、固定された大きさの推測を可能にするための二段階法を開発することに成功した。対数正規分布の平均が2つの母数の線形結合になり、従来の二段階法を用いることが困難になる。逐次法の権威であるZ.Govindarajulu教授(Kentucky大学)との意見交換により、標本数の推定と被覆確率の計算とに別々の標本を使う二段階法が開発され、この問題に一致性をもつ解が得られることが証明された。提案された二段階法の漸近有効性は、論文3の方法で証明された(投稿中e)。
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