研究概要 |
研究成果は以下の通りである。 半正定値計画問題に対する主双対内点法について研究した.主双対内点法では,2つの正定対称行列XとSを変数として,元の最適化問題を方程式XS=0の解を求める問題として定式化し,これを解くために,XS=νI(νはパラメータ)として定義される中心曲線を離散的に追跡する.我々は,中心曲線を同値な方程式X^<1/2>SX^<1/2>=νIの解として定式化し,これに対してNewton法を適用する方法を提案し,その多項式性を証明した.この問題は,多変数正規分布の最尤推定などとも関係が深く,統計学への応用が期待されている. 線形計画問題min{c^Tx|Ax=b,x【greater than or equal】0}に対する計算複雑度が係数行列Aのみに依存する多項式内点法について研究し,これまで得られている最良のアルゴリズムである,VavasisとYeのアルゴリズムを改良することに成功した.彼らのアルゴリズムは,探索方向を計算する上で,事前にX_Aなる係数行列Aのデータから計算される定数を必要とした.この定数の計算は容易ではなく,これがアルゴリズムを実用化する上で問題となった.我々は,この定数を計算しなくても同様のアルゴリズムが構成可能であることを示した. その他の研究:内点法に関連した力学系の漸近的挙動を解析した論文,Karmarkar法の挙動を解析した論文,アフィンスケーリング法の超一次収束性を証明した論文などを出版した.また,"Interior Point Methods of Mathematical Programming"(T.Terlaky,ed.,Kluwer Academic Publisher)において,アフィンスケーリング法に関する一章を著した. 今回はアルゴリズムを中心に研究を展開したが,今後は応用にも力点をおいて研究を進めたい.
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