研究概要 |
本研究の目的は,ソフトウェア工学実験に関する詳細な情報を格納するためのデータベース(ソフトウェア工学データベース:SEDB)を試作し,その協調利用技術を確立することにあった.これに対する研究実績は次の通りである. 1.ソフトウェア工学実験の実態調査…実験的ソフトウェア工学の研究者へのインタビューや文献調査の結果,ソフトウェア工学データベース(SEDB)には,オブジェクト指向開発に関する情報が格納されなければならないことが分った.特に,開発作業毎に,作業者の能力,作業時間,使用されたツール等を整理する必要のあることが分かった. 2.SEDBの設計…1.の結果に基づいて,オブジェクト指向開発プロセスをモデル化し,開発作業毎に,作業者の能力,作業時間,使用されたツール等を属性として持つことのできるデータベースを設計した.開発プロセスのモデルをカスタマイズ可能とすることにより,様々な開発方法論に基づいて実施されるソフトウェア工学実験のデータを格納可能とした. 3.インターネットとのインターフェースの設計…SEDBをインターネットに接続するためのインターフェースを設計した.インターネットとの接続プロトコルにはTCP/IPを,データベース情報の視覚表現手段にはWorld Wide Web(WWW)を,それぞれ用いた. 4.SEDBの試作…2.3.の結果に基づいて,SEDBをWindowsワークステーション上で試作した.ただし,データベースシステムには,Microsoft Accessを用いた.開発プロセスモデルの表示には,Visioを用いた. 5.試作システムの評価実験…4.で試作したSEDBの有効性や妥当性を確認するための評価実験を行った.その結果,OMTやOOSEといった代表的なオブジェクト指向開発方法論に基づく比較的小規模な実験であれば,実験データ等のデータベースへの格納が可能であることが分った.
|