研究概要 |
本研究はホモトピー法を中心とした非線形システムの数値シミュレーション技法の品質を保証・評価する手法の構築及びCGへの応用を目的として行われたものである。特に,区間演算を援用することにより,汎用的かつ実用的な手法を目指した。 (1)ホモトピー法の計算量の上限が事前に評価でき,その際得られる解の精度を保証できる非線形システムの十分条件を検討し,その条件を主要な形式を包含する線形ホモトピーに対して適用し,区間演算を用いた場合の実用的な評価方法を構築した。本手法により,与えられた方程式がホモトピー法で求解可能か否かの事前評価が可能となり,かつ計算量の上限が評価できることから,計算コストを考慮して実際に解を計算させるか否かの判断が可能となる。 (2)区間演算を用いた非線形方程式の全解探索アルゴリズムを主要な可視化技法であるレイ・トレーシング法に適用した。この際,浮動小数点数演算により効率的に全解探索が可能であることが示された。また,全解探索が成功したか否か,成功した場合の計算精度によって生成画像の品質を評価する方法を提案した。 (3)区間演算と自動微分を援用して,自由形状曲面の効率的かつ高品質なパッチ分割方法を構築した。本手法により,予め与えた精度を保ち,かつ数を抑えたパッチ群が構成可能となり,その後の可視化や数値解析の計算量の低減に貢献できる。
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