研究概要 |
本研究では,特定用途向きマイクロプロセッサに適したメモリシステムの提案を行った.次に,提案したメモリシステムの性能およびコストの定式化を行い,キャッシュメモリとオンチップメモリのトレードオフの評価を行った. 提案したメモリシステムは,(1)キャッシュメモリ,(2)オンチップ(内蔵)メモリ,オフチップ(外部)メモリ,の3つの要素から構成される階層的なメモリシステムである.これらの性能およびコストの特性が異なる記憶要素の構成を最適に決定することにより,メモリシステムの実現に要するコストの削減およびメモリシステムの性能向上が可能になる. 今回は,高速なキャッシュメモリ,大容量のオンチップDRAM,および典型的なオフチップDRAMを有するメモリモデルについて評価を行った.評価実験では,JPEG,MPEG,p64のようなマルチメディア応用で使用される現実的なサンプルを使用した.提案したモデルと高速なキャッシュメモリとオフチップDRAMを有する従来型のモデルを比較した場合,提案したモデルは,従来型のモデルより性能が最大数十%程度改善することができた.また,提案したモデルは,同程度の性能を得るために必要なハードウェアコストを最大1/4まで削減することができた. 評価実験の結果より,提案したメモリモデルの有効性を確認した.より正確なメモリモデルの定式化,最適なメモリ構成の決定手法等は今後の課題である.
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