研究概要 |
以下の4つの項目に関して研究を行った. 1.フーリエ変換による全方位画像情報の記憶:記憶に基づく手法の概念に従いつつもパラメータ化するためには,基の画像情報をできるだけ保存した手法を用いなければならない.それには,画像圧縮の手法としても用いられるフーリエ変換が適当である.ここでは,フーリエ変換によって効率的に画像を記憶する方法を提案した.フーリエ変換は,全方位画像を撮影時のロボットの方位とは独立な成分と,方位に依存する成分に分離できる.すなわち,画像間の類似度は,ロボットの方位とは独立な強度成分を比較することで,高速に推定することができ,また,ロボットの方位に依存する位相成分からは,観測点間のロボットの運動方向を知ることができる. 2.視点移動に伴う視覚情報の変化に関する検討:ロボットは環境内を徘徊し,様々な観測点で全方位画像を撮像し,環境の記憶とするが,これらの全方位画像を基に,ロボットの経路計画を行うには,環境構造と対応した配置とともに記憶する必要がある.ここでは,画像間の類似度と観測点間の距離に関する実験を行い,画像間の類似度から,観測点間の距離がある程度推定可能であることを示した. 3.バネモデルによる環境構造の復元:先に述べた,距離と相違度の実験に基づき,全方位画像間の相違度を基に,環境構造を復元した.環境構造の復元には,バネモデルを用いた. 4.経路計画とロボットの誘導の検討:バネモデルにより復元された観測点の配置を基した,経路計画とロボットの誘導法を検討した.ここでは,先に述べた全方位画像をフーリエ変換して得られた位相成分から,ロボットの移動方向を推定する方法を用いた.また,所有するロボットと実時間全方位画像入力装置を組み合わせて,実際の環境におけるロボットの誘導実験を行い,その有効性を確認した.
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