研究概要 |
画像認識により物体の3次元モデルを復元する技術は,様々な産業分野で期待されている.最近,通信,教育,メディアの分野においても,複雑な3次元形状や反射特性のコンピュータへの自動入力が求められてきた.本研究は,「物体の遠隔3次元モデリング」の構想を提案し,様々の場所で撮ったビデオ映像の処理によって,物体の3次元グラフィックスモデルを構築し,マルチメディアに応用するという目標を持っている.被計測物体を回転させ,ビデオカメラで物体各側面の連続画像を記録する.その映像をネットワークを通じてモデリングセンターへ送り,そこで写されていたあらゆる視覚特徴を分析する.各特徴から形状の情報を抽出し,それらを融合することによって物体の面構成モデルを構築する.出来上がったグラフィックスモデルをネットワークを通じてユーザーに送り返し,物体のグラフィックス表示を行う.本研究は,回転物体の連続画像から物体の3次元形状と反射率を求め,グラフィックスの面パッチによる物体モデルを作成する.このため,物体の運動を一軸の回転に限定し,点光源または棒状の蛍光灯光源が用いられる.カメラは回転平面と平行に画像を撮り,それを遠隔にあるセンターに転送する.センターでは,画像系列中の物体の動きを検出し,回転平面と回転角をプログラムで推定する.得られた回転平面の方向に沿ってエピポーラー平面画像(EPI)を生成する.モデル計算は各EPIで行い,各回転平面の断面形状を得る.本研究では様々な形状復元法を用る.物体の形状と表面属性,そして,周辺の照明と環境によって様々な視覚特徴が画像系列に含まれる.シルエット,表面のパターンとコーナー,写り込みとハイライト,そして,濃淡値が観測できる.また,物体の回転による特徴の変化も画面の運動としてエピポーラー平面画像に現われる.特徴点のカラー分布,移動特性,3次元復元後の整合性,互いの拘束を利用して視覚特徴の正確な分類を行う。
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