従来、CRTモニタでは再現が困難とされていたメタリック色の疑似再生について検討した。呈示色に時間変化を与えることで、メタリック感覚を誘導することを確認した。CRTモニタへの呈示には、カラーマップアニメーションと呼ばれる手法を応用した呈示アルゴリズムを開発した。本呈示アルゴリズムは、一般の計算機と通常のCRTモニタでの利用が可能であり、特別な装置系を必要としないものである。 観察視野10°×10°の領域を約10秒被験者に呈示し、被験者には、あらかじめ教示した金色印刷サンプルとの一致・不一致を回答させた。観察環境は、フレビュー作業環境を想定して、蛍光灯照明下の明室にて、CRTモニタ内の背景は白色、装置周辺背景は黒色に設定した。被験者は、正常な色覚の成人男子4名である。再生色を特定の金色に限定した知覚認識実験から、最良の呈示条件として72%の金色知覚成立を得た。 呈示色変動の範囲をサンプルとした金色を塗装した球面の色分布をもとに吟味し、良好な金色知覚を与えるための変動色シーケンス(巡回色列)を提案した。変動色シーケンスは、サンプルとした金色の周辺色から構成され、白色方向にやや広い範囲を取る特有の範囲であった。このことは、金属性反射の白色飽和を観察することが金色感覚の成立に関与することを示唆するものであり、金色知覚成立の必須条件として捉えることができる。また、色変動の速度は、1色あたりの呈示時間が30msec以下であることが必要であり、これ以下の変動速度では、金色知覚が成立しないことを確認した。
|