研究概要 |
本年度は,(1)分枝限定法に基づく最大リグレットの計算法とその応用,および,(2)ファジィ収益率をもつポートフォリオ選択については,理論展開のみならずシミュレーション実験も行った.(1)では,ある実行可能解の最大リグレットを求める問題を,Stackelberg問題として定式化し,新たに分枝限定法に基づく解法を提案した.数値シミュレーションにより,大規模問題での提案手法の有用性を検討した.従来,取り扱いが困難とされてきた係数間の相互関係を考慮した問題へも同様に適用可能であることを示し,係数ベクトルが凸多面体で制限された区間線形計画問題の最大リグレット最小化に適用し,その解法アルゴリズムを与えた.(2)では,収益率が独立なファジィポートフォリオ選択問題に,従来のファジィ数理計画法を応用した場合,集中投資解のような危険な解しか得られないのに対し,本研究で提案した最大リグレット最小化を適用すれば,分散投資解が得られ,より安全な解が得られることを示すとともに,その問題が線形計画問題に帰着されることを示した.また,収益率が独立な場合について,従来の確率計画法を適用した場合と,本提案手法を適用した場合とを複数の数値例により比較し,提案手法の解の方がより合理的であることを確認した.さらに,収益率が独立でない場合の最大リグレット最小解が緩和法に基づき求められることを示し,そのアルゴリズムを与えた.この他,理論展開に留まったが,(3)最悪達成率の計算法では,最大リグレットと同様に求められることが明らかになった.(4)不明確さを含むプロジェクト選択モデルでは,問題が2レベル問題となることより,下位問題を連続緩和近似すれば,遺伝的アルゴリズムなどの適用により,近似解が求められることがわかっている.(5)リコース問題では,大規模な線形部分問題が容易に解ければ,リコース問題の解が求められることがわかっている.
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