兵庫県南部地震の際の神戸市での地震動特性にみられたように、大阪平野や関東平野における地震動には強く三次元の堆積盆地効果が現れる、従って、複雑な成層構造をした堆積盆地における地震動を効率よく計算できる手法の開発が望まれている。著者はこれまで、成層地盤におけるGreen関数を境界要素法に適用し、堆積盆地における地震動のシミュレーションを行い、関東平野やロサンゼルス盆地の地震動を計算し、その結果は各種学会論文に発表してきた。しかし、既往のHaskell Matrixを用いたGreen関数は数値的に不安定で、従ってそれを用いた境界要素法も不安定であった。また境界要素法に必要とされる数万に及ぶGreen関数の計算にも膨大な計算時間が要求された。そこで本研究では、数値的に安定したReflection/Transmission Matrix法によるGreen関数を開発し、さらにGreen関数Library法を用い、膨大な数のGreen関数をSpline補間を用いて高速に計算する方法を提案した。本研究の成果は、国際学会11th World Conference on Earthquake Engineeringで発表され、また日本建築学会の論文報告集に論文として投稿された。またオリジナルのフォートラン・プログラムもインターネットを用いて研究用に公開し、これまでのところ世界中に十数名に及ぶユーザーが利用している。
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