受動的プラズマ診断法である発光分光分析法の短所である「測定領域がウインドウから観測できる範囲に限られる」という問題を解決した、光ファイバーケーブルと絶縁物細管により構成された光プローブを用いて、プラズマからの発光の空間分布の測定を試みた。発光の空間構造の測定原理は、従来プラズマ中の電子エネルギー分布関数を観測するために使用されている2ω法に準じた。すなわち、光プローブの位置を走引する際に、微少変動(x=xοsinωt)を重畳し二倍高調波成分を測定することにより微分波形(発光の位置分布)を観測する事を試みた。以下に、構築及び測定の際に発生した問題点を示す。 1.光プローブは低気圧中に発生したプラズマ内を移動させる必要があるため、移動用真空ゲージポートとしてウイルソンシールを内蔵したゲージポートを作成した。このゲージポートは単に光プローブを移動させる際には問題はなかったが、振動を加えるとリ-クが発生してしまった。 2.光プローブを振動させる際、プローブの先端がプローブの移動軸に平行に振動するだけでなく、垂直方向にも振動してしまい、微分波形の観測ができなかった。これはプローブの長さや材質を変質し、さらに移動用真空ゲージポートの遊びを無くす事により解決可能であると思われる。 以上の問題により、2ω法を用いた空間構造の観測は行えなかった。そこで次善の方法として、光プローブを振動させることなしに走引して得られる出力を数値化し、計算により微分波形を得ることを試みた。測定の際のノイズが依然として多く数値微分は安定性に欠けているものの、リング型γfマグネトロン放電にこの方法を試みた結果、定性的には妥当と思われる結果を得ることができた。また、構築した発光分光分析システムは単にプラズマ中からの発光を測定するには有用であった。
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