研究概要 |
本研究では、自由電子レーザのための、静電加速器にエキシマレーザを使用した光電効果型電子銃の最適化を理論的・実験的に行った。 電子ビーム軌道シミュレーションコードE-GUN2oを使用して、加速管内における電子ビームの挙動を明らかにした。この結果、初段加速電圧を10kVから20kVに増加させることによって、加速最終段で得られる電子ビームの半径が小さく抑えられ、約5πmm・mradが得られることが明らかになった。カソード材料はAl,Mg,CuについてKrFエキシマレーザを使用して実験を行った。仕事関数が低いAl,MgはCuよりも量子効率は高いが、損傷を受けやすく劣化が早いためCuよりも寿命が短いことがわかった。これは、電子顕微鏡による表面の観察から、電子銃の真空度が10^<-6>Tott程度と低いためにイオンボンバートメントが発生して劣化したと考えられる。 加速電圧600[kV]、初段加速電圧20[kV]、に対してエキシマレーザ照射径5[mm]、繰り返し1[Hz]のとき、ビーム電流0.56[A]が得られ電流密度は67[mA/mm^2]であった。電流密度が小さい原因は、加速装置の電位勾配をコロナ放電によっているため、電位勾配の一様性がくずれて電子軌道が乱れ、集束できなかったためと考えられる。この電子ビームを周期2.5mmの回折格子近傍を通過させることによって、スミスパーセル型自由電子レーザ(51GHz)の発振出力350[μW]を得ることに成功した。
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