研究課題/領域番号 |
08780470
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
エネルギー学一般・原子力学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
児玉 竜也 新潟大学, 工学部, 助手 (60272811)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 水分解熱化学サイクル / 水素エネルギー / 太陽熱 / 反応性セラミック / フェライト / 鉄合金 / ニッケル / インジウム |
研究概要 |
1200℃以下で下記の水分解熱化学サイクルを構築することを目的として、反応媒体となる反応性セラミック新材料の開発を、複合鉄酸化物(フェライト)のredox系で検討した。 MFe_2O_4→MFe_2O_<4-x>+x/2O_2(酸素放出反応) MFe_2O_<4-x>+xH_2O→xH_2+MFe_2O_4(水分解反応) Zn(III)-、Mn(II)-フェライトに加え、マグネタイト(Fe_3O_4)、Ni(II)-、Mg(II)-、Co(II)-、In(II)-フェライトの反応性を調べた。比表面積を大きくし、反応を有利にするために粒径20-50nmの超微粒子を合成し、赤外線イメージ炉で作製した太陽炉モデルの反応炉で実験を行った。酸素放出反応に対する反応性を700℃の低温で速度論的に解析するため、炭素(活性炭)を還元剤として加えた。その結果、M=Zn<Mn<Fe<Co<Mg<In<Niの順で格子酸素の放出速度が増大することがわかった。さらにMg(II)以下のフェライトでは準安定ウスタイトで還元が止まるに対し、In(III)、Ni(II)ではα-Fe+In、Ni-Fe合金の金属相まで還元が進行することが見出された。Ni(II)-フェライトについてはNiとの合金化で金属鉄の生成自由エネルギーが低下することが原因と考えられるが、金属Inが独自に形成されるIn(III)-フェライトでは、Fe(II)への電子の授与にInが触媒的に関与するという興味深い還元機構が推察される。これら金属相は500℃で水蒸気を分解して水素を生成し、ほぼ完全にフェライト相に再酸化されることが確認された。次に、In(III)-、Ni(II)-フェライトで活性炭を用いず900℃以下においてN_2気流中での酸素放出反応を試みた結果、金属相の生成はほとんど起らなかった。これらフェライトにさらに改良を加える必要があるが、本研究で見出されたNi(II)-フェライトの低温のおけるNi-Fe合金への転移を、さらにInの触媒効果を利用し低温化することが期待でき、現在、Ni(II)-In(III)-フェライトによって検討中である。
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