経済性を重視した耕作や開発により土地利用形態や陸域植生が著しく撹乱され、これによるリージョナル/グローバルな気候変動が懸念されている。しかし、現時点では地球環境をモニタリングするために必要な土地被覆データは十分には整備されていない。また、グローバルに植生変化・気候変動をとらえるためには、地域レベルで土地被覆の状況を把握することが不可欠である。 そこで本研究では、北海道札幌市、千歳市、苫小牧市を含む石狩川および千歳川流域を対象として、過去6年間の衛星データから土地被覆図を作成した。土地被覆の分類は、季節や生育ステージの違いによって変化する対象物の分光反射特性を利用した、マルチテンポラル解析により行った。土地利用は札幌市郊外や空港用地周辺において若干変化していたが、その他はほとんど変化していなかった。また、求めた熱フラックスについても変化の傾向が認められなかった。植生変化と気候変動の関係を明らかにするためには、さらに過去にさかのぼった解析や、気象データおよびNOAA衛星の夜間データなどの複数のデータを併用した解析が必要であると考えられた。
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