研究課題/領域番号 |
08780498
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 勝彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70251329)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | オスミウム / 海水 / 玄武岩 / 環境評価 / 同位体 |
研究概要 |
オスミウム(Os)は原子番号76の白金属元素であり、自然界で硫化物、金属相に濃集するというユニークな挙動を示す。そのため、Osは、地球科学的諸現象を研究する際に従来用いられてきた元素では読めなかった、自然界からの信号の読みとりの鍵になりうる。本研究は、このOs同位体を環境科学に応用しようという試みである。しかし、環境科学、試料中のOs濃度が低い上に、Osの化学分析が難しいため、実用化されていない。今回は海水中のOsの濃度、同位体を分析することにより、火山噴出物、あるいは化石燃料の燃焼に伴うばい煙などの人為的排出物の量の見積もり、その環境への影響を探ることを試みた。まだ論文として公表できる段階ではないとはいえ、海水中から二酸化マンガンファイバー8.65gに吸着した6.5×10^<-10>gのOsの分析に成功した。これはもちろん、世界初のデータである。また、Osを用いた、ロシアカムチャツカ半島から北海道にかけての玄武岩の分析から、最近頻発している地震の発生機構を探る試みを行った。手始めとして行った標準岩石JP-1中のOsの正確な濃度3.59ppb(10^<-9>g/g)、同位体比0.1210±0.025の値を得た。この値は今後Osを用いた研究を試みる他の研究者の基準となるであろう。以上の結果から、今回の研究で第一の目標であった、Os濃度の極端に低い玄武岩及び海水の分析方法の確立は達成された。Os同位体が地球科学の世界で用いられるようになって、年数が浅く、ましてや環境科学への応用は本研究が初めての試みである。今後は、本研究で目的としていたカムチャツカ玄武岩の分析を進める。海水のOs同位体比の測定データが得られれば、海水中でのOsの挙動、地球規模での循環が明らかになるであろう。そのデータを用い、環境影響物質の海洋中での滞留時間を明らかにし、その起源を探る。
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